店長として働いていると、「アルバイトが仕事をしない、やる気がない」といった悩みを抱える場面が多々あると思います。
特に学生アルバイトとなると、”勤務時間内にどれだけ楽をできるか”という思考の人が多いため、適当に業務を流されることが多いです。
どんなに注意をしてもなかなか改善しないこともあるため、店長としては死活問題ですよね。
また、やる気のないスタッフが一人でもいると、ウイルスのように職場全体に悪い影響が広がるので、早めに対処したいところです。
本記事では、そんなやる気のないスタッフへの効果的な対応方法と、店長としての役割について詳しく解説していきます。
アルバイトがやる気を出さない理由
アルバイトがやる気を出さない場合、その原因を知ることが対応策を考える第一歩です。
やる気が低下する要因は個々のアルバイトごとに異なり、その背景を理解することで、的確なサポートや改善策を講じることができます。
仕事内容への理解不足
多くのアルバイトが仕事に対してやる気を感じられない理由の一つに、仕事内容への理解不足が挙げられます。
業務内容が複雑であったり、適切な研修が行われていないと、アルバイトは自信を持って仕事に臨むことが難しくなります。
このような場合、まずは基礎から丁寧に説明し直し、業務への理解を深めることが求められます。
そもそも業務を理解できておらず、自分の中ではしっかりと業務をこなせていると思い込んでいる可能性があります。
すぐにできる対策としては、業務を口頭で教えるだけではなく、簡潔にまとめたマニュアルや業務リストを作成してあげることです。
自身でメモを取らせることも重要ですが、指導者側も細かいところや難しいポイントなどはわかりやすくまとめてあげることも大切です。
指導者の中には「教えてもらう側がすべて自分でやるのが当然」という考え方の人もいますが、この考え方は古いので、今の時代の考え方の流れに沿った指導を心がけましょう。
現代では、指導者が学ぶ側の理解度や進捗に合わせてサポートする「伴走型の指導」が重視されています。
令和の職場では、教える側と教えられる側が共に協力して進めていくことが求められています。
私が店長を担当していたときも、アルバイトが業務を忘れて飛ばすことが多くあったので、業務をリスト化し、しばらくはチェックを付けながら業務をさせることで対策をしていました。
適切なフィードバックがない
やる気を出しているアルバイトほど、フィードバックを期待していますが、それが不足しているとモチベーションが低下してしまうことがあります。
特に若いアルバイトは自分が評価されているかどうかを気にするため、定期的なフィードバックが効果的です。
良い点だけでなく改善点も伝えることで、彼らの成長をサポートしやすくなります。
従業員の良いところには気づかず、悪いところばかり指摘する指導者も多いので、しっかりと全体を見て評価してあげましょう。
職場環境や人間関係の問題
アルバイトが仕事をしない要因の一つに、職場環境や人間関係の問題がある場合も少なくありません。
例えば、職場内に信頼できる人がいなかったり、他のスタッフとの関係が悪いと感じている場合、仕事に対して意欲的になれないことが多いです。
こうした場合には、店長が率先してコミュニケーションを取り、人間関係を改善するための環境を整えることが大切です。
やる気のないスタッフに対する具体的な対応方法
原因を把握したら、次に具体的な対応方法を考えましょう。
やる気のないスタッフを前向きにさせるためのアプローチは、一人ひとり異なりますが、以下の方法が効果的です。
明確な目標設定と共有
やる気の低いスタッフに対しては、明確な目標設定が効果を発揮します。
例えば、「来月の売上目標を達成したら〇〇」といった具体的な目標やインセンティブを設けることで、アルバイトにとっての達成感やモチベーション向上につながります。
また、店舗全体での目標を共有し、一緒に達成を目指す姿勢を見せると、個々のアルバイトも協力的になりやすいです。
インセンティブ導入が難しい場合は、数ヶ月に一度、〇〇達成者にはギフトカードを贈るイベントを行うなど、モチベーション向上策を導入してみると良いでしょう。
小さな成果を評価する
やる気の低いスタッフが少しでも前向きな行動を見せた場合、それを見逃さずに評価することも重要です。
小さな成果や努力に対して「ありがとう」「頑張っているね」といった声掛けをすることで、アルバイトが自己肯定感を持ち、やる気を出しやすくなります。
特に、普段あまり認められていないと感じているスタッフには、このような声掛けが効果的です。
定期的な面談を通じたコミュニケーション
やる気がないスタッフには、定期的な面談を実施し、意見や不安を引き出す場を設けることが重要です。
店長との一対一の会話であれば、本音を話しやすいと感じるスタッフも多く、職場に対する不満ややる気が出ない理由が見えてくることもあります。
面談を通じて、スタッフが仕事に対して前向きな気持ちを持てるようサポートしていきましょう。
「厳しすぎず優しすぎず」のバランス感覚
やる気のないスタッフと接する際、指導者として重要なのは「厳しすぎず優しすぎず接する」バランス感覚です。
厳しく指導しすぎると、スタッフが萎縮してしまい、意欲を失う原因になります。
一方で、あまりに優しすぎる対応では、仕事に対する緊張感が薄れ、責任感が欠けてしまう恐れもあります。
このことから、適度な距離感を保ちながらも必要な時にはしっかりと指導するということを心がけると良いでしょう。
例えば、ミスがあった場合はすぐに叱るのではなく、まず冷静に理由を尋ね、相手の状況を理解しつつ指導を行います。
ミスをされるとイライラしてしまう気持ちもわかりますが、感情のままにキレるのは指導者としてあるまじき行為です。
改善点を具体的に示し、何をどうすれば良いのかを明確に伝えることで、スタッフが自分の課題を理解しやすくなります。
また、成果があったときにはしっかりと褒めることも忘れないでください。
叱るばかりでなく、努力や成長を認めることが、スタッフのモチベーションを保ち、仕事への前向きな姿勢を引き出す鍵となります。
店長としての役割と影響力
やる気のないスタッフに対する対応だけでなく、店長としての役割も大切です。
店長の姿勢や態度は、スタッフ全体に影響を与えるため、自らの行動がスタッフにどのように影響を与えるかを理解しておくことが重要です。
モデルとなる姿勢を示す
店長が仕事に対して真摯な姿勢を示すことで、スタッフも自然とそれに従います。
例えば、忙しい時間帯でも落ち着いて対処する姿勢や、細部まで気を配る姿勢を見せることで、アルバイトもそれに影響を受けて働くようになります。
自らが店舗の「顔」として模範的な行動を取ることが、スタッフ全体の士気向上に繋がります。
スタッフを巻き込んだ目標達成の取り組み
店長としては、店舗全体で目標を共有し、スタッフを巻き込んだ取り組みを行うことが大切です。
例えば、月ごとの売上目標やキャンペーンの達成をスタッフと一緒に考えることで、一体感が生まれやすくなります。
また、チーム全体で目標に向かうことで、やる気のないスタッフもやりがいや達成感を感じやすくなります。
自分から「やらなきゃ」と思わせる環境作り
店長の役割は、スタッフがやる気を出せる環境を整えることも含まれます。
職場の雰囲気作りや、適度な休憩時間の確保、シフトの調整など、働きやすい環境を提供することで、スタッフのモチベーションが向上しやすくなります。
また、困っているスタッフがいたら声をかける、サポートが必要な場面で助け合うなど、店舗全体で助け合う環境を構築することで、やる気が低いスタッフも働きやすくなります。
さらに、周りのスタッフがテキパキと働いていていたり、積極的に声がけをすることで、やる気のないスタッフが目立つようになり、その気まずさから自分でやることを探すようになるはずです。
ゴミだらけで汚い路地裏はポイ捨てされやすいですが、綺麗で高級感のある場所ではポイ捨てされにくくなる心理と同じです。
長期的な視点でスタッフの成長をサポートする
やる気がないアルバイトスタッフも、長期的に見れば成長する可能性があります。
店長としては、短期的な結果だけでなく、長期的な成長を視野に入れてスタッフと向き合うことが大切です。
ここでは、スタッフの成長を支えるためのアプローチについて解説します。
短期的な目標設定と評価制度の導入
長期的な成長を目指すためには、短期的な目標設定も有効です。
例えば、「今月は〇〇の業務を完全に覚える」「来週は売上に関する提案を一つ考える」といった具体的な目標を設定し、達成した際にはきちんと評価を行います。
このような短期的な目標と評価制度は、スタッフが成長を実感でき、やる気を引き出すきっかけとなります。
ただし、やらせるだけやらせて評価をしないのは逆効果なので、しっかりと伴った評価をしてあげましょう。
失敗を許容し学びに変える環境作り
成長を促すためには、失敗を恐れずに挑戦できる環境作りが欠かせません。
スタッフが失敗した際には、すぐに叱るのではなく、その失敗をどう改善できるかを一緒に考える機会を設けましょう。
こうした失敗を学びに変えるサポートが、スタッフにとっての貴重な成長の機会となり、やる気を維持しやすくなります。
それでもやる気を持ってくれないときには
やる気の低いスタッフに様々なサポートを行っても効果が出ない場合、店長としてはさらなる対応が求められます。
どんなにサポートしても改善しない場合、改めてそのスタッフが仕事にどう感じているか、再度面談を実施して深く話し合いましょう。
もしかすると、”辞めたいと感じていつつ言い出せないだけ”という場合もあるので、お互いのためにもしっかりと話し合うことが大切です。
無理に続けさせることで他のスタッフに悪影響を及ぼすこともあるため、店長として店舗全体の雰囲気や一体感を保つために、適切な判断を下すことも時には必要となります。
まとめ
やる気がないアルバイトスタッフの対応は、店長にとって頭を悩ませる課題の一つです。
しかし、その原因をしっかり理解し、個別にアプローチすることで、スタッフのやる気を引き出し店舗全体の雰囲気を向上させることが可能です。
まずは、スタッフの状況や背景を理解し、具体的な目標設定やフィードバック、成長を支援する環境作りに取り組みましょう。
店長としての姿勢や役割が、やる気のないスタッフにも大きな影響を与えることを忘れず、日々の業務に取り組んでください。
店長としての対応がスタッフのモチベーション向上に直接的な影響を与えるだけでなく、店舗の成功にも大きく貢献することでしょう。